最後のコンサートの後に彼に申し出た私の言葉には、一点の迷いも曇りも無かった あの時まで彼と一緒に紡いで来た確かな事実が、私達が歩んできた見紛う事無い確かな道が有ったから これからも私の居場所が…彼が何時も傍らに有り続けてくれるから私は何時までも羽ばたき続けられる それが、包み隠す事の無い彼へ伝えたい本当の私の想いだったから だから私は、本当の自分の想いを告げた 私の溢れる想いを、全ての想いを込めて、彼に告げた なのに それなのに、彼から返って来たのは唯一つのメールだけだった 私は、それで全てを悟った もうあの人とは、これで逢う事は無いのだと 二度と一緒に歩く事は無いのだと 残された歌と共に、又、一人で歩かねばならないのだと 皮肉な事だと思う 歌に逃げ込んでいた私を、折角、彼が歌から連れ出してくれたのに その彼が居なくなったら、私に頼れるのは結局その逃げ込んでいた歌しか残っていなかったのだから こんな時でも歌の事を考えてしまう私は、きっと、何時か言われた様に存在自体が孤高なのかも知れない いや、孤独そのものなのだろう 又、壊れた家族から己の心を護るように、彼に開いた心の扉は閉ざして、再び道を、空を、天を目指して進んでいく 誰も寄せ付けずに ――――――― 又一人で 『泣くことならたやすいけれど 悲しみには流されない  恋したことこの別れさえ 選んだのは自分だから』 私は、もう決して振り返らない 自分でこの道を再び選んだのだから 『群れを離れた鳥のように 明日の行き先など知らない  だけど傷ついて血を流したって いつも心のまま ただ羽ばたくよ』 喩えどんな道が待ち受けて居ようとも、これから私は、唯、自分の信ずる道のみを歩む 『蒼い鳥 もし幸せ 近くにあっても あの空へ 私は飛ぶ  未来を信じて あなたを忘れない でも昨日には帰れない』 だけど、貴方と共に過ごした事は一生忘れない 再び、そこに戻れる私の居場所はない事は判っていても 確かに、私の居場所はあったのだから その事実を胸にしまって、何時か見つかるかも知れない私の未来を信じて歩もう 『蒼い鳥 自由と孤独 二つの翼で あの空へ 私は飛ぶ  遥かな夢へと この翼もがれては 生きて行けない 私だから』 双翼の片方は、散ってしまった だが、私には未だ双翼が残っている ―――――――― 自由であるが故に孤独の、孤独であるが故に自由と言う名の『私の双翼』が だから私は、飛び続ける その羽ばたきを止める事無く、飛び続ける 私には、羽ばたきを止めても、もう何処にも安息できる居場所は無いのだから