頑張れ!僕らの千早さん Last episode 「誰が為に鐘は鳴る 後編」 「なっ!? そ、そ、そ、そんな大きい声で言わなくてもっ!? ああっ! は、恥ずかしい…」 「あ、あ、当たり前だ! そんな事言われりゃ、誰だってビックリするっての!」 「………………で、そ、その…………」 「だ、だから、そう言う類のはマズイんだって。誰が見て無くても …って、又、そんな目で見るし…ああ、こ、困ったなぁ」 「私は別に…こ、困りません」 「俺が困るんだよ…」 「…」 「はぁ…しょうがない…。  良いかい? 今から、言う事は一度しか言わないからな? よく聞いててくれよ?」 「え? は、はい…」 「正直に言うとだな…、そ、その…抱っこで、俺は千早にしちゃいけない想像をした」 「……えぇええぇえっ!?」 「あー…、もう、どう思ってくれても構わん。言い訳するつもりは無いから。  但し、全部正直に話す。それが、俺の千早に対する答えだ」 「ぶっちゃけだな、アイドルとは言え、俺にとっては千早を気にするなって方が土台無理な話なんだ  だけど、プロデューサーたる者が自分の担当の子に手を出すなんて有っては為らない事だし、俺を信じてくれた社長を裏切る事にもなる」 「え、ええ…」 「千早、考えた事有るか? こんな上のアイドルランクまで上がって来れたのは、何でだろ?って」 「え? それは…、私達が上を目指して頑張って来たから、ファンが付いて来てくれたから…だと思いますが」 「ま、確かにそれも有るわな。 だけど、それらは単なる一因。 根本的な要素じゃ無い」 「ならば…他に何が有ると?」 「ファンが付いて来てくれる…って言ったよな? じゃあ、それは何で?」 「そ、それは…」 「魅力だよ。 容姿、歌唱力、立ち振る舞い、その全てが千早の魅力として人を魅了して行くからさ  千早自身に…千早そのものに魅力が無ければ、ファンなんか付いて来やしないだろ?」 「あ…」 「俺が最初に千早を選んだ理由が、正にそれさ  初めて見た時に千早に魅了されたから…その原石の可能性に惹かれたから  そして、見事に宝石に生まれ変わってくれた。 俺にとって、世界中のどんな宝石も敵わない一番眩しく輝く宝石にね」 「…」 「そんな、俺にとって魅力的過ぎる子が傍に居るんだよ? しかも、そんな子から…あ、あんな事言われたら…  情け無いかもしれんが、俺、正直抑える自信……無いよ…」 「プロデューサー…」 「はぁ…。 あ、あはは…。何か、スッキリした  でも、何時も千早の事ヘンな目で見てる訳じゃ無いからな! た、たまに何かの拍子に、へ、ヘンな想像しちゃうだけで…」 「言い訳…しないんじゃ無かったのですか?」 「あ…、ご、ゴメン…」 「ふふふ…」 「わ、笑わなくても良いじゃな(ry」 「音無さんの言うとおりの人なんですね、プロデューサーって」 「え?」 「本当に、こう言う事に関しては鈍くて不器用な人…だって」 「な、何でだよ」 「その気持ちを一言で言い表せる言葉、有るでしょう?」 「何だよ、そんなの有ったか?」 「私は、直ぐ思い付きましたよ。 最も、私もプロデューサーから教えて貰った様な物ですが」 「?」 「じゃあ、私が教えてあげます…」 「プロデューサー  私は、貴方の事が…『好き』です。 世界中の誰よりも、一番貴方の事が『好き』です  だから、何時までも私と一緒に居て下さい  貴方の傍に、居させて下さい」 「!?」 「な、何ですか? 何故、わ、私をそんな顔で」 「…い、いや。正直、物凄く驚いた  千早にそんな風に思って貰ってるなんて考えても見なかったから」 「そ、そ、そうですか。 で、では、今度はプロデューサーの番です。 私、プロデューサーのお答え……待ってますから…」 「あ、いや、そ…その…」 「…」 「あー、わ、判りました。えー、い、行きます…」 「は、はい」 「え、えーと…ち、千早  俺も千早の事が……その…す、す…『好き』です  誰にも千早の事は、わ…渡したく有りません  だから、ずっと……ずっと、俺の傍に居て下さい」 「………はい。は…い……、…は………い…………」 「わっ!? わーっ、な、泣かないでくれよ!? な!? た、頼む! お、俺どうしたら良いか…って、ああ、もう!!」 「…ぷ、ぷろ…?」 「えーっと…、何時までも泣いてると抱きしめるだけじゃなくて、その…ほ、ホンとにヘンな事しちゃうぞ、と」 「グス…、さっき…グス…困らないって…言いました」 「く、くそぉ…、じゃ、じゃあ、こうだ」 (チュッ) 「…」 「あー…、逆効果でしたか。 な、何か余計に…トホホ  えーい、仕方無いから取り敢えず、今日は御希望の抱っこの替わりに抱きしめる事にします  千早が止めてくれって言うまで、絶対離しません」 「…グス…絶対……絶対、私…グス、い、言いません…」 「ま、参ったな…。 って、千早?」 「…」 「あのな、その手離す気は…無い……よなぁ」 (コクリ) 「…頼むよ。 思いっきり頷かないでくれ…」 「なあ、千早」 「…はい…」 「明日、その…俺、社長のトコ行ってキチンと話してくるよ」 「なら、私も……御一緒します」 「…そっか。 有難う」 「はい…」 「…あのさ」 「…」 「これからも、ずっと……ずっと、一緒に歩んで行こうな…」 優しく頬に触れるPに、笑顔で頷く千早さん 彼女の瞳から、又、綺麗な…とっても綺麗な宝石が零れ落ちて行きました その日千早さんは、夢を見ます この街の郊外にある教会の鐘が、千早さんとPさんの2人を暖かく優しく包む様に鳴り響く夢を その鐘の音は、2人の門出を祝福してくれる時の音色に、とても良く似ていたそうです さあて、長きにわたり終にゴールに辿り着いた2人 しかし、これからも更に色々なハプニングや出来事が彼らを待ち受けている事でしょう でも、きっと2人は、負けたり挫けたりしませんよね? だって、より強く結ばれた『新しい絆』が有るんですから では、2人の前途に幸多からん事を陰ながら祈って 〜 おしまい 〜